ファイナンシャルプランナーの中山沙映です。
10月16日に公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の、初日から10日間の興行収入が107億5423万2550円、動員数798万3442人を記録したとのことです。まあ、もともと劇場数が多く、上映回数も多いこともありますが、それでもすごい数字ですね。
ワイドショーはもちろんのこと、NHKのニュースでも取り上げられるなど、社会現象となっています。「鬼滅の刃」がなぜこんなに人気なのか、様々な分析がありますが、うーん、これ書いた人、本当に作品を読んでいる?アニメ観ている?と疑問に思うことも。
Contents
人はなぜ「鬼滅の刃」にハマるのか、考察してみた
枯渇感
「鬼滅の刃」は2016年2月から2020年5月まで「週刊少年ジャンプ」で連載していました。単行本は、最終巻である23巻が12月に発売予定です。
アニメは2019年4月から9月にかけて放送されていました。アニメ化してから、人気に火が着きました。
そして、アニメのオープニングを歌うLiSAさんが2019年の紅白に出場したあたりから、人気がすごいことに。書店に行っても、単行本が品薄状態、関連グッズもすぐに売り切れてしまいます。
ここで、「枯渇感」です。
アニメになった部分は、原作の序盤。このあとのストーリーはいつアニメ化するの?って思っていたところに「無限列車編」の映画化発表。ファンは大喜びだったのですが…にっくき新型コロナウイルスの感染拡大、そして緊急事態宣言。
大人も子供もSTAY HOME。そこで、それまで観ていなかった方がアニメを観たり、マンガを読んだりして、「鬼滅の刃」の魅力にハマる人がどんどん増えていきます。あの時期、ほかに楽しみが何もなく、家にいて楽しめるものとして、最高のツールだったわけです。
そんな中、連載が終わります。ああ、喪失感。
そこに、10月16日に映画公開が発表されます。それを楽しみに、ファンはひたすら耐える日々だったのです。
やっと、やっと映画が公開になる。ここまで、キャストやスタッフにとくにトラブルもなく(ufotableは脱税とかあったけど)、映画公開を迎えられたことに、喜びしかなかったです。
アニメが終わってから約1年、新型コロナウイルス緊急事態宣言から約半年、この間ファンはずっとずっと待っていました。その枯渇感から、ファンは映画館に詰めかけた、というわけです。
共感・理不尽との戦い
主人公の竈門炭治郎は、父を亡くして、母と、5人の妹弟と山の中でつつましくも幸せに暮らしていました。たまたま自分が家にいないとき、鬼によって「理不尽に」家族を殺されてしまいます。唯一生き残った妹の禰豆子は、「理不尽に」鬼にされてしまいます。
炭治郎は、禰豆子を人間に戻す方法をさがすため、鬼殺隊に入ります。この鬼殺隊に入るための特訓も大変だったし、入ったあともひどいけがを負ったりして、なかなかうまくいきません。
そんな炭治郎や禰豆子の境遇が、新型コロナウイルスによって「理不尽に」それまでごく普通にあった生活を奪われてしまった私たちとリンクしているように思えるのです。
今も、世界中で新型コロナウイルスの感染が拡大しています。自分や、自分に近しい人が感染したらどうしよう、という不安。経済的な不安。たくさんの不安がある中、それでも生きていかなきゃいけない。
「鬼のいない世界」を目指して戦っている炭治郎たちと、「新型コロナウイルスがない世界」を求める私たちも、リンクしています。
唯一の娯楽
Go To キャンペーンが色々と始まりましたが、まだまだ、コロナ前のような日常生活はできません。というか、戻れません。
最初にお話した「枯渇感」に、エンターテイメントに対する「枯渇感」も含まれています。
映画館は、他のイベントと比べても、コロナ感染予防の対策を実施しやすい環境。
映画館だったら。
「鬼滅の刃」だったら。
行ってもいいかな。そんな気持ちにさせてくれるのです。
まとめ
とまあ、色々理屈を並べてみましたが、素晴らしい原作、その原作をリスペクトして作成してくれたアニメスタッフ、キャスト、すべてが揃ったすばらしいエンターテイメント。
流行りすぎて、今更読む(観る)の恥ずかしい、という方も、食わず嫌いせず、ぜひ一度映画館に足を運んでみてはいかがでしょうか。