ファイナンシャルプランナーの中山沙映です。
プライベートなことで恐縮ですが、1月に父を亡くしました。
父は数年前に脳梗塞を患い、右半身が不自由でしたが、亡くなる直前まで自力でごはんを食べ、自力でトイレに行っていました。なので、死は突然でした。
ファイナンシャルプランナーとして相続の勉強はしていましたが、実際、自分の親の死を前に、何をどうすればよかったのか…いまだに悩んでいます。そんな私の反省を踏まえて、とくに離れて暮らす親子の終活についてまとめてみたいと思います。
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日頃からのコミュニケーションが大事
まだまだ元気だから、葬式のことやお金のこと、聞きにくい。私もそう思っていました。
でも、いつまでも元気、とも限りません。認知症とまではいかなくても、記憶力は確実に衰えていきます。いざというとき困らないように、私たち子世代から働きかけが必要です。
1~2ケ月に1回は実家に顔を出す
父が弱ってきたここ2年くらい、2ケ月に1回くらい実家に行くようにしていましたが、できれば元気なうちから、もっと実家に行くべきでした。
元気なうちに、もっと色々話しておけばよかったと、今、後悔しています。
取引している金融機関など、資産を把握しておく
我が家の場合、お金関係は全部父がやっていました。父が体調を崩して、自力では確定申告ができなくなったとき、母は「何をどうしていいか全然わからない」と言ってきました。
母には「とにかく届いた郵便、全部とっておいて」と頼み、私がまとめて開封して、確定申告の書類を作成しました。
父が受給している年金がどのくらいで、どの金融機関に振り込まれているか、そのときはじめて知りました。
個人年金保険や、控除される保険の内容なども、そのとき把握しました。
そして、あちこちに、バラバラと持っていた銀行の通帳を、なるべくまとめるようにしました。
父は右半身がちょっと不自由で、自分で書類に記入するのは難しかったけれど、認知症ではなかったので、一緒に銀行に行って、解約の手続きができました。認知症になると解約ができなくなるので、元気なうちにある程度まとめておいた方がよいでしょう。
また、株式などは手放す方向で。今のように株価が暴落しても、本人でないと株式の売買もできず、大損してしまうことがあります。
最晩年において金融資産は、現金化が簡単なもので所有することをお勧めします。
また、たとえば保険にしても、保険金受取人とは別に、連絡先を登録できますので、連絡先を子世代にしておくと、今後何かあったときに手続きが簡単になります。
金融資産以外、年金手帳や介護保険証の保管場所も、知っておきたいです。私が確定申告の手続きをしていたので、通帳の保管場所は知っていましたが、年金手帳等の保管場所は知らなかったので、お葬式のあと、弟と二人で探しました。我が家の場合は、父が亡くなったあと、母がポンコツすぎて、まったく頼りにならなかったこともあったのですが…相続手続きは、金融資産よりも、年金などの手続きの方が優先されますので。
隣近所、民生委員、ケアマネさん、かかりつけ医との顔合わせ
我が家の場合、もともと東京出身。父がリタイア後、出身地でもなく、親戚ない東北にIターンしました。なので、私たち子世代にとって、実家というより、他人の家、という感じです。ですから、隣近所も知らない方ばかり。
弟も私も、実家に行くたびに、ご近所にお菓子を持って、ご挨拶しました。私は、お隣とは電話番号を交換して、ときどき電話でも話すようにしていました。お隣の方がとても親切でよい方だったことが幸いでした。
父にはケアマネさんもついていたので、私が実家に行くときに合わせて訪問していただきました。
こういった人間関係の把握は、離れて暮らす親子には重要です。
お墓関係やお葬式について話し合っておく
我が家は本当にイレギュラーで参考にならないかもしれませんが、我が家の菩提寺とお墓は東京です。それまでは、お寺におさめるものも、父が銀行振込で手続きしていましたが、父の体調不良により、弟がすべて引き継ぐことにしました。
これは、やっておいてよかったです。弟が引き継ぎ、お寺へも直接伺うことで、しっかり顔つなぎができ、葬儀そのほかの手続きがスムーズにできました。
亡くなった人を悪く言うのは申し訳ないのですが…エンディングノートが、何冊もありました。しかも最初の数ページしか記入していない!
ただ、父のかつての仕事仲間、趣味の仲間のうちこの方に連絡しろ、というリストはあったので、それをもとに、葬儀の連絡をしました。
エンディングノートについては、子世代が用意して、「一緒に書かない?」と言ってみるのもいいかも。「目がよく見えないし、こんな小さいところに字書くの無理」とか言うと思いますが、「じゃあ、私が書くから、通帳出して」と言ってみるとか。
終活は、難しいですね。ただ最近は、芸能人の方で、上手に終活されている方がいらっしゃいます。私がすばらしいと思ったのが、樹木希林さん、八千草薫さん。お二方とも、ぎりぎりまで現役で活躍されていました。病気を公表し、生活をサイズダウンされている様子を、著書にのこされています。そういった方を例に出して、親と話し合ってみるのもよいかと思いますよ。